大人気のアニメ「おそ松さん」をデザイン雑誌:MdNが特集しています。
何度かアニメを見ましたし、社会現象になりつつあることは知っていました。
デザインの領域から「おそ松さん」を見ると、どう見えるのでしょうか?
赤塚不二夫のマンガでは無個性な六つ子から個性を引き出した
Photo by Amazon:月刊MdN 2016年 4月号(特集:おそ松さん)
赤塚不二夫さんのマンガを今まで読んだことはありませんでした。
この雑誌には赤塚不二夫さんのマンガ「おそ松くん」がついていますので、赤塚不二夫さんの作風を体験することができるようになっています。
題名は「エスパーニャンコをねらえ」
この題名は懐かしい少女コミック「エースをねらえ!」を連想させます。
とはいえ、内容はスポーツものではありません。
このマンガは「おそ松くん」キャラクター総出演といった内容です。
注目すべきなのは六つ子に特徴が無いということです。
コマを賑やかに埋めていくだけのために6人もいるのではないかと思えます。
この無個性な六つ子だけではおそらくマンガは成立しなかったでしょう。
チビ太、イヤミ、デカパンといったユニークなキャラクターが六つ子を取り巻くことで、はじめて成立したコミックと言えるのではないでしょうか?
……
しかし、アニメ「おそ松さん」では、この点が全く違います。
六つ子にはそれぞれキャラクター特性が設定されています。
この個性によって、おそらく六つ子だけでもストーリーを展開できるはずです。
- おそ松:長男気質
- カラ松:ナルシスト
- チョロ松:ツッコミ役
- 一松:シニカルな性格
- 十四松:狂気秘めた明るさを持つ
- トド松:末っ子気質の甘えん坊
これらのキャラクター設定が人気のアニメ「おそ松さん」を作り上げた最大の秘密だと思います。
キャラクターデザイン
おそ松さんのアニメの絵柄は他にない印象を受けます。
それが何なのか、アニメを見るだけではわかりませんでした。
MdNの特集によって、キャラクターの「主線」(輪郭をかたどる線、アウトライン)がブルーを使っているということが分かります。
このブルーのラインが今まで見たことも無かったアニメの雰囲気を創り出し、モダンな印象を見るものに与えています。
美術
逆に背景美術には「主線」がありません。
しかし、テクスチャーはレトロなタッチを再現したものになっています。
このような表現手法はいままでのアニメには無かったものです。
キャラクターデザインとあいまって、おそ松さんの世界を「レトロポップ」な印象に仕上げることに成功しています。
その他
アニメを見れば文句なく楽しく、現代受けするシニカルなストーリーがコアなファンを引きつけます。
それはデザイン要素の積み重ねや世界観のこだわりなくして表現することは出来ません。
この「MdN 2016年4月号 おそ松さん」には「赤塚不二夫のDNAを継ぐものたち」というサブタイトルが振られています。
以下のようなスタッフのインタビューによって「おそ松さん」における作り手のこだわりが浮き彫りにされています。
- 浅野直之:キャラクターデザイン
- 田村せいき:美術
- 垣田由紀子:色彩設計
- 松原秀:シリーズ構成
- 依田伸隆:映像ディレクター
アニメファンでなくても制作に携わる方には必見の内容です。
是非、目を通してみてください。
by T.Y.